生類の皆様へ

ゲームと百合の話

闇を切り裂く侍の真実を求めて ~鳳凰篇~

 先日上京しました。京とは、嘘と偽りに満ちた虚構の都市東京ではなく、真実の都市京都のことです。

 

 今回の旅の目的は、京都に存在する、超名作ゲーム「仁王2」の巨大二次創作を見に行くことです。仁王2に登場するステージを丸ごと再現する二次創作は、「仁王」の頃から全国に渡って行われている一大ムーブメント。当然、空ろなる幻影都市東京にその座を奪われるまで日本の中心であった京都にも、数多くの二次創作物が存在します。

 

 せっかくなので、訪れた場所を紹介しようと思います。まずは平等院です。訪れたのは主に洛外です。洛中にあると思っていた聚楽第は、「聚楽第跡」を残すのみとなっていました。おそらく、城自体が刑部姫(Lady Osakabe)であることや、絵画から登場する強大な妖まで再現した結果、自壊したものと思われます。南無。

 

平等院 ~封魔の霊堂~

 宇治に立つ巨大な建造物平等院。仁王2では上下に広大かつ複雑で、大勢の妖が登場する難ステージ。その奥には、特別強力な妖である”九尾の狐”、”酒呑童子”、そして仁王2の黒幕にしてラスボス”大嶽丸”が封じられています。仁王と仁王2の大物そろい踏みの二次創作ということで、期待に胸が膨らみます(まるで攻撃前の海坊主のように)。

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 早速、鳳凰堂が姿を現します。ちょっと違うところはありますが、中々の再現度です。鳳凰堂の中の見学は別料金で、ある人数単位での常世同行が定期的に出発します。沢山の人が整理券を買っており、流石に大人気です。常闇とか大丈夫なんでしょうか。さて外周を見て回って……

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 あれ?龍がいない???

 「龍神の宝玉」をはめるための龍の石像が見当たりません。これでは地下に進んで行くことが出来ません。

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 流石にこの下に広がる霊堂はいくことはできないのか、とやや落胆。また、敷次郎や烏天狗と言った妖たちの姿も見えません。下に行くほど危険なこの霊堂、大勢の観光客が来る中、配慮が大事な時代になっているのでしょう。

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 こちらは雪入道がいたところの手前の東屋。弓兵などもいません。おそらく、平等院の人(ソハヤ衆?)が毎朝妖を一掃しているのだと思われます。頭が下がります。

 お堂の内部もよくできており、特に雲中供養菩薩や阿弥陀如来坐像などはそっくりです。聞くところによると、平等院世界遺産に指定されているようです。仁王2がグローバルな人気を誇るゲームだというのがよくわかります。GOTYなんて目ではないですね。おそらくコンプリートエディションのパッケージには世界遺産認定の文字が光るでしょう。

 

 この後、ミュージアム鳳翔館というところに行きました。歴史の解説なども見られるので、当然気になるのは封印されている三大妖怪。決して滅ぶことがないと言われている大嶽丸を筆頭に、日本を混乱に陥れた凶悪な妖怪とともに、この平等院が”封魔の霊堂”たる所以を、饒舌に紹介してくれるとおもっていたのですが……

 なんと、一切言及がありませんでした。妖のあの字も語られることなくミュージアムは終了。グッズショップにも九尾の狐のモフモフストラップとかはなく、パンフレットのどこを読んでも沈黙が破られることはありませんでした。仁王2の二次創作物でありながら、余りにも不自然。ゆえに、余りにも不気味です。彼らについて語ることはそれほどまでに危険なことなのでしょう。仁王2の描いた真実の重さを、今一度その身で感じたようで、私は思わず身震いをしたのです。

首塚大明神 ~さあ宴よ!舞え、歌えい!~

 なんとなく消化不良で終えた平等院巡礼。というわけで京は西京、大江山へ向かいます。大江山といえば「封魔の霊堂」でボスを務める”酒呑童子”の出身地。ここには、酒呑童子の首を祀ったと言われる「首塚大明神」があります。一般に酒呑童子の首は頼光

によって平等院に祀られたと言われていますが(仁王2の妖怪図鑑に書かれているので当然全人類知っていると思います)、この神社の伝承は、酒呑童子の首がここで突然動かなくなり仕方なくその場で祀った、というものです。平等院の秘匿は、もしかしたら真実を隠すためのコーエーテクモゲームスの策謀なのではないか。この疑惑を胸に首塚大明神へ……

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 ……え?

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 …怖…………

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 雷で木が大変なことになってます。荒魂に満ち溢れています。なんか身体も疲れたので普通に常闇も発生していると思います。長くいると落命すると思ったので装備していた夜刀神の妖怪技を使用して逃げ帰りました。いつまでも頼りになるやつです。